○レジデンシャルONEとは
【レジデンシャルONEとは】
レジデンシャルONEとは、平成15年6月から平成19年11月までの間、木証券が販売していた「木住居用不動産投資ファンド」の愛称です。
レジデンシャルONE事件とは、木証券の従業員からレジデンシャルONEを勧められて購入したところ、莫大な損失を被ったために、一般投資家が、木証券に対して損害賠償を請求している事件です。
当時、木証券では、レジデンシャルONEの販売に非常に力を入れており、多くの投資家が、「3年満期の定期預金みたいなものですが、定期預金よりも利率がよい商品です。」「リスクは、地震と火事と戦争くらいのものです。」「こんなに安全かつ有利な商品はありません。」などと勧誘されています。
ところが、平成17年頃より不動産市況は下落に転じ、レジデンシャルONEは元本割れを起こすようになりました。しかも、レジデンシャルONEは、実は、不動産が1〜2割下落するだけで出資金がほとんどなくなってしまうような極めてハイリスクな商品だったのです。
たとえば、つい最近、平成21年8月に償還されたファンドは、1口100万円の出資金が、3年後にはわずか4000円余りになってしまっていました。ほとんどゼロになってしまったと言ってもよいでしょう。
【レジデンシャルONEの問題点】
レジデンシャルONEというファンドは、レイコフの関連会社が運用するのですが、ファンドは、木証券が一般投資家から集めた資金だけでは足りないので、銀行からも借入れをします。
レイコフは、それらの資金を使って都心を中心に賃貸マンションを購入し、賃料収入をあげることによって運用を行います。
運用期間経過後は、マンションを売却し、その売却代金を償還資金に充てます。 (ここまでなら通常のJ-REITとほぼ同じような仕組みです。)
ところが、このレジデンシャルONEの問題点は、償還をする際に、銀行に対する借入金の返済が優先されていることです。
具体的を使って説明すると、
1 例えば、投資家から1億円、銀行借入で3億円の合計4億円を不動産購入資金として集めます。
2 4億円を元手に、4億円のマンションを購入し(諸経費やファンド手数料は、便宜上無視して説明します。)、賃料収入を上げて、投資家らに分配します。
3 運用期間経過後は、不動産を売却して投資家や銀行に償還します。その際、売却代金が購入資金を上回っていれば、投資家は、キャピタルゲインを得られて儲かるのですが、逆に、不動産価格が下落しているときは、安い値段で不動産を売却し、その売却代金は、まず優先的に銀行借入の返済に充てられます。
4 先の例でいえば、集めた4億円で4億円のマンションを購入したものの、そのマンションの価値が運用期間経過後に3億円に目減りした場合(すなわち,25%下落した場合)、売却代金は3億円で、これを銀行に優先的に返済してしまうと、投資家へ償還するお金はなくなってしまいます。
このように、レジデンシャルONEは、銀行への返済を優先する結果、不動産価格が下落した場合に一般投資家が非常に大きな損失を被るおそれがあるにもかかわらず、このことを事前に十分説明することなく販売がなされたため、一般投資家は、現在、当初予期しなかった極めて大きな損害を被ることとなってしまいました。